読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

Stop-signal 課題:抑制機能と下前頭回(inferior frontal gyrus, IFG):前編

昨日のエントリーでは、行動に抑制をかける役割を前頭葉が司っていること、また、抑制機能を調べるための課題としてGo/No-go課題を紹介しました。

 

脳の抑制機能を調べる課題にはGo/No-go課題のほか、stop-signal課題などの課題があります。

 

今回紹介する研究では、前頭葉の特定の領域(右の下前頭回)の損傷面積が大きくなると、行動に抑制をかけるまでにかかる時間が長くなることを明らかにしています。下前頭回(かぜんとうかい)が、抑制機能を担っているために、そこを損傷してしまうと、抑制が効かなくなってしまうのです。

 

研究では、右側の前頭葉に損傷をもつ18人の脳損傷患者と、彼らと年齢やIQなどを合わせた16人の対照群の参加者が実験に参加し、ストップシグナル課題に取り組みました。

 

ストップシグナル(ストップ信号)課題には、いくつかのやり方があります。普段は刺激が出たら(例:ランプが点灯したら)、それに対しボタン押しなどで反応をするのですが、別の刺激=ストップ信号(例:ビープ音など)が随伴して与えられたら、ボタン押しを抑制しなければならない、という課題などが考案されています。

 

今回紹介する研究では、ストップ信号を送る割合は全試行のうち25%としました。(25%の試行では、ストップ信号が発せられるので、ボタン押し反応を抑制しなければなりません。)

 

毎回ボタン押しを実行したり、毎回ボタン押しを抑制するわけではないところがポイントです。ときどき「ストップ」がかかるために、抑制がうまくかけられる場合とかけられない場合とが生じるのです。

 

さて、前頭葉の損傷患者の方々は、この課題をおこなうときにどのような特徴を示すでしょうか?次回のエントリーをお待ちください。

 

 

参考文献:

Aron, A. R., Fletcher, P. C., Bullmore, E. T., Sahakian, B. J., & Robbins, T. W. (2003). Stop-signal inhibition disrupted by damage to right inferior frontal gyrus in humans. Nature neuroscience, 6(2), 115-116.