修行の効果:デフォルトモードネットワークの活動が低下する(4)
【結果】
RSにより、神経活動が下がった領域は、下記の図に示したとおりです。
皮質(=大脳新皮質=脳の表面の進化的に発達した部位)の領域も、
皮質下(=大脳新皮質に覆われた原始的な脳の領域。生命の維持や、食欲の調節、運動の実行、睡眠の調節などなどを司る)の領域も
いずれについても活動が上がった領域はありませんでした。(すべて、緑か青)
左右の後部帯状皮質(PCC)、前部帯状皮質(ACC)、そして楔前部、
右の下頭頂小葉、内側前頭回、島皮質の活動が下がりました。
RS(repetitive speech、くり返し発話)条件のときに、Rest(安静時)に比べて脳活動が低下した領域が緑や青で示されています。(緑の方が、活動の低下が大きい)
上2段の絵は、脳を風船のように仮想的に膨らませたものです。
(=脳にはシワがあって、シートが折りたたまれているような状態になっていますが、CG処理で、普段は隠れているシワの中の部分が、外に露わになるような加工を行っています)
1番上の段は、脳を外側(lateral, “L”)から見た図
2番目の段は、脳を正中線(midline, “M”)で切った図
3番目の段は、脳の皮質を一枚のシートになるように広げた図
LH=left hemisphere=左半球
RH=right hemisphere=右半球
A=anterior=前部
P=posterior=後部
MFG=middle frontal gyrus=内側前頭回(ないそくぜんとうかい)
Ins=insura=島皮質(とうひしつ)
IPL=inferior parietal lobule=下頭頂小葉(かとうちょうしょうよう)
ACC=anterior cingulate cortex=前部帯状皮質(ぜんぶたいじょうひしつ)
PCC=posterior cingulate cortex=後部帯状皮質(こうぶたいじょうひしつ)
Prc=precuneus=楔前部(けつぜんぶ)
【DMNについて】
DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)は、下記の領域を含む:
内側前頭皮質、楔前部、後部帯状皮質、下頭頂小葉、(海馬を含む)内側側頭葉(ないそくそくとうよう)、そして外側側頭皮質(がいそくそくとうひしつ)
(the medial prefrontal cortex, precuneus/posterior cingulate cortex, inferior parietal lobule, medial temporal lobe including the hippocampus, and lateral temporal cortex)
参考文献:
Berkovich‐Ohana, A., Wilf, M., Kahana, R., Arieli, A., & Malach, R. (2015). Repetitive speech elicits widespread deactivation in the human cortex: the “Mantra” effect?. Brain and Behavior.