脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

ゲームと合理性:実験における課題

 

議論が少し散漫になってしまった感がありますので、結論をまとめますと、

 

ゲーム理論(や経済学)では・・・

金銭報酬のみが利得ではありませんし、また選好は主体にとって千差万別です。

ゲームの実験において、実験者が参加者に対して「このゲームをプレイするように」と与える利得表は、参加者本人にとっての本当の利得表・本当のゲームとは食い違いうるため、実験者の与えたゲームの構造からは非合理的な行動が出たとしても、その結果からは参加者は合理的とも非合理的ともいえないのです(たとえばですが、参加者がプレイしている「本当のゲーム」の観点からは、合理的かもしれないわけです)。

 

 

では本来、ゲームの実験では何を検証すべきなのでしょうか?

 

それは、実験参加者が参加している(取り組んでいる、直面している)ゲームの構造がどうなっているかを、参加者の行動から推定することではないかと私は思います。

 

現実の世界で、私たち個人が直面する実際の自然なゲーム的状況では、自然に戦略が定義され、またゲームの結果に対する自然な選好、選択、行動が生じるでしょう。

(このような場に研究者が居合わせることができるのであれば、ゲームの結果に対する選好などに関する聞き取りを人々に対して行うことで、自然に生じているゲームをそのまま記述することができるかもしれません。)

 

 

しかし、実験研究においては、自然にゲーム的状況が生じるのを待っていられませんから、なんらかの方法で参加者に動機づけを与えて、ある程度、外側から実験者の作為によってゲーム的状況を生み出してやる必要があるでしょう。そのような人工的な状況下では、取りうる戦略を実験者側で限定して、さらにはゲームの結果(=参加者のとる戦略の組)に対して、金銭的報酬を含む報酬や、勝ち負けや、得点などを動機づけのために与えることで、ゲーム参加者の行動をある程度方向づけつつ、最終的には、ゲームの結果に対して参加者がどのような選好をもったかということから、参加者が取り組んだ「本当の」ゲームを推定すること、それが実験研究者がすべき最初の課題なのではないかと私は思うのです。

(具体的な方法論・手続きについては現時点ではノープランですが…(汗))

 

明日につづく・・・かもしれません