脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

メモ:共感覚とフォトグラフィック・メモリー

 

五感というコトバがあるように、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚は、別々の感覚として感じられる。しかし、数字を見ると色が見えたり、音を聞くと触覚や味覚を感じたりといった、ある刺激が本来引き起こす感覚とは別の感覚を引き起こすことがある。これを共感覚といい、その能力を持つ人を共感覚者という。

このように、共感覚は、本来記憶力とは関係のない知覚的能力のことを指すが、高い記憶力を持つ人の中には、共感覚の能力も有する人がいることが明らかになっている。この両者の間には何らかの関係がある可能性がある。

有名なのは、シェレシェフスキーの事例である。彼は名前の頭文字であるSからシィー(ロシア語ではアルファベットのSをシィーと発音する)と呼ばれていた。

彼は、一度目にしたもの、耳にしたものを詳細に記憶できる能力を持っていた。新聞社に勤めていたが、会議中も一切のメモを取らずにすべてを頭のなかに記憶していたという。

彼は、無意味な数字列や文字列を、ごく短時間の間に記憶して、何年も後に尋ねられたときにもそれらの情報を正しく再生(想起)することができた。

 シィーは、映像記憶・写真記憶(フォトグラフィック・メモリー)と呼ばれるたぐいの、写真のような記憶を持っていたのかもしれない。(シィーは、特別な能力を持っていたわけではなく、ある種の記憶術をうまく利用していただけではないか、と考える研究者もいる)