大きさの対比錯覚
人の知覚は、外界にある事物をコピーのように写しとったものではありません。脳の仕組みに合わせて、外界の事物はさまざまな修飾を受けて知覚されているのです。たとえば同じ15度の水でも40度のお湯に触った後にはとても冷たく感じますし、氷水に触れた後に触れば生ぬるく感じます。
これと同様の対比によって生じる錯覚が視覚にもあります。
それが「ティッチナー錯視(エビングハウス錯視)」です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Ebbinghaus_illusion#/media/File:Mond-vergleich.svg
まず同じ大きさの円を2つ、距離を置いて描きます。
同じ大きさなので、同じ大きさの円として知覚されます。
つぎに、片方の円の周囲を非常に小さい多数の円で囲います。さらにもう片方の円の周囲を非常に大きい多数の円で囲います。
ふたたび真ん中の円を見比べてみると、本来は同じ大きさだったはずなのに、小さい円で囲まれた方は大きく、大きい円で囲まれた方は小さく知覚されます。
これが大きさの対比錯覚です。
さて、この簡単なデモンストレーションにより、知覚は大きさの対比に騙されることがあきらかになりました。それでは私たちの脳は騙されっぱなしなのでしょうか?実はそうとも言えないのです。
つづきは次回のエントリーをお楽しみにしてください。