笑顔でハッピーに(2)
つづきです。
実験室の机の上には、直径12mmのフェルトペン、アルコール脱脂綿、ティッシュペーパーが並んでおり、実験の前に、参加者はフェルトペンをアルコール脱脂綿で拭くように指示されました。
ついで参加者たちは1つのセッションの間は各条件(「唇でペンをくわえる条件」「歯でペンをくわえる条件」「利き手と反対の手でペンを持つ条件」)のいずれかに割り振られました。
これらの条件で実験課題に取り組んでもらいます。
実験課題は4つありました。
別々の紙に印刷され、ひとつの小冊子にまとめられていました。
課題1は、2つの点を直線で結ぶことです。
課題2は、10個の数字を順番にペンで結ぶ課題です。
ページの下部には10件法の尺度が印刷されており、参加者はこの数字連結課題(digit-connection task)の難しさを回答します。
課題3は、ページに印刷された8つの子音と9つの母音のうち、母音だけにアンダーラインを引くというものです。
課題4に本研究のメインの興味があります。
このタスクでは、参加者は、雑誌に載っているような漫画(cartoons)を見ること、そして中には他のものより面白いものがあるであろうと説明を受けます。
参加者は、これらの漫画それぞれに「0:まったくおもしろくない」から「9:とてもおもしろい」までの10件法で評価をするよう求められます。参加者は、それぞれの姿勢(「唇でペンをくわえる条件」「歯でペンをくわえる条件」「利き手と反対の手でペンを持つ条件」)で漫画を読み、評価を行います。
(漫画は事前に適度に面白いと判断されたものが実験に選ばれました)
結果、ペンを歯で挟む場合は、唇で挟む場合より漫画がより「おもしろい(funny)」と判断されました。(おもしろさに関しては、利き手とは逆の手で持つ場合は、歯と唇の場合の間の評価値でした。)
笑顔(smiling)に関する筋肉を動かすことによって、ポジティブな気分になり、漫画の面白さも高まることが示されました。
身体の状態は感情状態に影響をあたえることができるようです。
もっと詳しく知りたい方は
「ペン・テクニック」「ペン・ホールディング法」
などのワードで、検索をしてみてください。
参考文献:
Strack, F., Martin, L. L., & Stepper, S. (1988). Inhibiting and facilitating conditions of the human smile: a nonobtrusive test of the facial feedback hypothesis. Journal of personality and social psychology, 54(5), 768.