かゆみを脳への電気刺激で抑える
冬になると空気が乾燥してかゆみが出て困りますね。
肌を保湿したり、かゆみ止めを利用したり
さまざまな方策を取られている方も多いことでしょう。
かゆみについて生理学研究所の研究者らが興味深い発見をしました。
経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)と呼ばれる手法を用いて
かゆみ知覚が抑制されることがわかったのです。
経頭蓋直流電気刺激法とは頭蓋骨に貼り付けた電極から
ごく弱い電流を頭皮上に流すことで、皮質の活動に影響をあたえる手法です。
安全性も高いと考えられています。
実験では、電気刺激とヒスタミンを使って、参加者の腕に痒みを誘発しました。
一方、経頭蓋直流電気刺激は下記のとおり行いました。
両側の感覚運動野に電極を貼り付け、1.0mAのごく弱い電流を流します。
右の脳に電極、左の脳にマイナス電極を貼って刺激を行ったところ、
プラスマイナスの電極を逆に貼った場合や、電流を流さなかった場合に比べて
痒みのピークが低く、かつ痒みからの回復が促進されることが示されました。
薬に頼らずに痒み知覚を抑える方法として発展が期待されます。
生理研のプレスリリースもご覧ください。
参考文献:
Nakagawa, K., Mochizuki, H., Koyama, S., Tanaka, S., Sadato, N., & Kakigi, R. (2016). A transcranial direct current stimulation over the sensorimotor cortex modulates the itch sensation induced by histamine. Clinical Neurophysiology, 127(1), 827-832.
生理研プレスリリース
非侵襲的大脳皮質刺激により痒み知覚が抑制される
~経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)を用いた検討
http://www.nips.ac.jp/release/2015/08/_tdcs.html